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SOLDES!
以前、12 months of loversに参加させていただいたものです。
Bitter Sweet Loves:如月様主催のイベントページです。
 季節のイベントをテーマに皆様の作品が掲載されています。

そこで、私が夏のセールをテーマに書かせてもらったものです。
季節外れですみません…。靴にまつわる話、として違うものを書いていたのを見つけたので(それも次の記事で載っけますー)その前にひとつ、と、思い。
こちらの記事にはしていなかったもので。既に見て頂いた方にはアレですが。

ステキ企画サイトの方にも、皆様の素敵すぎる作品が沢山ありますので
是非行ってみて下さいー。



|SOLDES! SOLDES! SOLDES!



「先輩が買い物に付き合ってくれるなんて。」
「まあ、オレも色々見たいものあったし。」
百貨店から路面店まで、ウィンドウに大きくソルドの文字が並ぶ年に二回のセール時。カフェでテイクアウトしたドリンクを片手に並んで歩きながら、彼女が珍しそうに言った。
「でも、せっかくのセールなのに。のだめ今、金欠なんですよねぇ。」
「どうせまたごろ太関連でも買って金無いんだろ。オレは出さないからな。」
冷ややかな視線と声で言い放つ彼に、何で分かるんですか、ボソリと吐いてからストローを噛んで頬を膨らませた。
「…別にそんなこと言ってませんよ。いいんです!ヨーコから新しい夏のワンピースも届いたし!」
彼を小さく睨み返してから、行きますよ!と勢い良く彼の手を取りショップの扉を開けた。

アパレル、リネン、食器類に食品。赤いソルドの文字が踊る中、テンポ良く買い物を続ける彼を横目に、口を尖らせた彼女は
「先輩、楽しそう。」
「まぁ。買い物嫌いじゃないし。何だよ。自分が金無いからって。ちょっとは遠慮しろって言いたいの?」
「そんなこと言ってません!のだめだって、この前プリごろ太の特別版買えたからいいんです!」
さらに口を尖らせて言う彼女に、あっそ。と彼は一瞥もくれず、予想通りじゃないか、と付け加えてやや呆れ気味に返す。
「じゃぁ、オレ、あっち見たいついでに煙草吸ってくるから。この辺戻ってくるけど。分かんなくなったら携帯に連絡する。」
分かりました。彼女は少しむくれたまま、通りの向こうを指差して言う彼に返事をした。





別れた場所付近にやや足早に。まだ不機嫌なままかな、と思いながら、戻って来た彼の歩調がゆるむ。視界に入った彼女の姿。ショーウィンドウの前、右手をペタリと窓に添わして中にディスプレイされた靴に見入っている。ウィンドウに映り込んだ彼の姿に気づいた彼女が、少しだけ顔を傾げて小さく笑って言った。
「あ、先輩。お帰りなさい。」
ウィンドウの中には、オープントゥのパンプス。上質なエナメルはライトを受けて、踵にあしらわれたビジュー飾りと共に上品に光を反射している。普段履いているものに比べるとぐっと高いヒールの靴に見蕩れた様子の彼女に、彼は、珍しいな。と横に並んで言った。
「キレイですねぇ。…キラキラ。」
「履いてみれば?」
「むーん…」
渋る声に彼女の方を見れば、視線は靴から逸らさないまま窓に張り付いて口を尖らせている。暫く観察していたが、彼女はうっとりと、少し困ったような表情で変わらずウィンドウの中を眺めたまま。その横顔に仕方なしに笑ってやって、彼は彼女の左手を柔らかく掴む。戸惑う顔に笑ったまま、店内へと促す。
「…いいですよ、先輩!」
「いいから。気に入ったんだろ?」
「でも…。」
店員に試着を促すと、店内に入ってもまだ戸惑うばかりの彼女の前に、店員がにこやかにディスプレイされた靴を持ってやってくる。サイズを告げると、丁度同じサイズだと店員はもう一度笑った。店内のチェアに浅く腰を掛けた彼女を見る。ぎこちなく、困った様に微笑んで、履いていた靴を脱いでから、店員によって揃えられた靴に手を添えてつま先を滑り込ませた。右足、左足。いつもより丁寧に靴に足を入れて静かに立ち上がる。オープントゥのつま先から形の良い爪が覘いている。一歩、二歩。上から足下を見ながら鏡の前に進み、ゆっくりと半回転をして鏡に映る後ろ姿を見る。鏡に映った彼が笑っていたのは、彼女が10cmに少しふらついていたからで、さっきよりも、また困った風に彼女も笑った。
「転びそう。お前、危なっかしいし。」
「ほんとですね、  …でも。」
鏡の前から、彼の方へ歩み寄って行き、こんなに近くなりますよ。にこりと笑ってそう言う彼女は、ヒールほどいつもより彼と目線が近い。
「そうだな、」
笑っていつもより近い頭をくしゃり。それから彼は店員にカードを渡し支払いを促す。
「…先輩! これ、セールでも高いですよ?」
「似合ってたよ。」
驚く彼女にさっきよりもやや乱暴に頭をぐしゃぐしゃと撫でてやる。店員からショッパーを受け取り、店を出る手前。やや小さな声で、ありがとうございます。と照れた様に言った彼女。
「帰ったら、着替えてメシ食いに行くか。」
普段なら飛びついてきそうなところを、大人しく笑って言う様子の彼女に提案する。
「お前も、ごろ太でばっかり、無駄遣いしてんじゃ無いぞ。」
彼は少し意地悪く笑って付け加えてやると、頬を赤くして、むぅ、と彼女はもう一度膨れてみせた。





食事を終えて店を出る頃には、夏のパリもやっと夜の色になっていて、街灯の下を気持ちフワフワとした足取りで、右腕を彼に預けて歩く。
「結構飲みましたねぇ。帰ったら、ピアノ。弾こうと思ってたのに。」
「さすがにそのヒールじゃぁ、ペダル踏みにくいだろ。」
「靴と食事のお礼ですよ?」
見上げて言う彼女に、少しドキリとした表情になる。それを捉えた彼女はニィと、口の端を上げて彼の左腕に巻き付かせた腕にぐっと力を込めた。彼は悔しそうな視線を夜空に寄せてから、思いついた様に。今度は彼が彼女に向かって笑う。
「別にいいよ。」
ピアノより先に。ドアを開けて、ベッドに放り投げられて。靴に手をかけ脱がされる。床に構わず転がされた靴は、窓からの光を受けて小さく光る。

「先輩、楽しそう。」
「まぁ。脱がすの嫌いじゃないし。」
首元で、得意気に笑って言う彼に、彼女もくすぐったいと笑った。

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こちらは、の/だ/め/カン/ター/ビレを扱う二次創作のブログです。もちろん原作、出版社等いっさい関係ありません。

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