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ゆ
少しご無沙汰です。まずひとつ。
|ムッツリ加減
家に着くと部屋には明かりが点いていたけれど、寝室にもリビングにも彼女の姿は見かけなかった。しかしそこまで深く考えてはいなかったので、いつものように鞄を置き時計を外し、ミネラルウォーターを飲み、バスルームへ。そこで彼は彼女の所在を確認することになる。
「あ、悪い。」
音がしなかったから気づかなかった、と彼はバスルームのドアを閉めた。一枚扉を隔てた向こうでユーカリの匂いと乳白色の泡の中の彼女。ネクタイを緩めながら、目を閉じれば目蓋の裏に湯気が立ちこめるようだった。それからシャツの第二ボタン迄外したところでドアの向こうへ声をかける。
「オレも入っていい?」
「…はい?」
らしからぬ彼の言葉に頭の中で整理がつく迄少し時間を要したので、彼女がくぐもった声で怪訝な返事をした時にはもう彼の上半身は露なものだったし、タオルを取りにドアの前から動いていたので耳には届いていなかったのかもしれない。しかし彼女の返事がどうであれ構わないといった様子でタオルを携えて戻って来た彼はバスルームの扉を声もかけずもう一度開けた。
「…先輩、どうかしたんですか?」
「別に。久しぶりにオレもお湯溜めて入りたかったし。」
タオルを預けるついでに一度鏡を見やってからバスタブを見下ろすと、困った様に眉根を寄せた彼女。普段は鼻息荒く人のバスタイムや着替えを覗いたりするくせに、と呆れながら「ほら、詰めて」とそしらぬ声で彼は彼女の濡れた肩を押した。
「さすがムッツリ…」
「ストレートに一緒に風呂入りたいって言ってやったのに何がムッツリだ。」
お湯と両手で顔を一撫で、そのまま頭をひと掻きしたので前髪は束になっててっぺんへ流れてつるりと形の良い額があらわれる。浴槽の縁にどかりと預けた肘と少し上げた片眉が意地悪を作った。それから、小さな膝頭二つと顔半分しか覗かせてない彼女にぐいと顔を寄せる。
「何か期待してるお前の方がムッツリなんじゃないの、」
浴室は余計に耳元でエコーをかけて、湯の熱さのせいではなく急速に染まる頬。彼女はきまり悪そうにブクブクと泡の返事で答えていた。
家に着くと部屋には明かりが点いていたけれど、寝室にもリビングにも彼女の姿は見かけなかった。しかしそこまで深く考えてはいなかったので、いつものように鞄を置き時計を外し、ミネラルウォーターを飲み、バスルームへ。そこで彼は彼女の所在を確認することになる。
「あ、悪い。」
音がしなかったから気づかなかった、と彼はバスルームのドアを閉めた。一枚扉を隔てた向こうでユーカリの匂いと乳白色の泡の中の彼女。ネクタイを緩めながら、目を閉じれば目蓋の裏に湯気が立ちこめるようだった。それからシャツの第二ボタン迄外したところでドアの向こうへ声をかける。
「オレも入っていい?」
「…はい?」
らしからぬ彼の言葉に頭の中で整理がつく迄少し時間を要したので、彼女がくぐもった声で怪訝な返事をした時にはもう彼の上半身は露なものだったし、タオルを取りにドアの前から動いていたので耳には届いていなかったのかもしれない。しかし彼女の返事がどうであれ構わないといった様子でタオルを携えて戻って来た彼はバスルームの扉を声もかけずもう一度開けた。
「…先輩、どうかしたんですか?」
「別に。久しぶりにオレもお湯溜めて入りたかったし。」
タオルを預けるついでに一度鏡を見やってからバスタブを見下ろすと、困った様に眉根を寄せた彼女。普段は鼻息荒く人のバスタイムや着替えを覗いたりするくせに、と呆れながら「ほら、詰めて」とそしらぬ声で彼は彼女の濡れた肩を押した。
「さすがムッツリ…」
「ストレートに一緒に風呂入りたいって言ってやったのに何がムッツリだ。」
お湯と両手で顔を一撫で、そのまま頭をひと掻きしたので前髪は束になっててっぺんへ流れてつるりと形の良い額があらわれる。浴槽の縁にどかりと預けた肘と少し上げた片眉が意地悪を作った。それから、小さな膝頭二つと顔半分しか覗かせてない彼女にぐいと顔を寄せる。
「何か期待してるお前の方がムッツリなんじゃないの、」
浴室は余計に耳元でエコーをかけて、湯の熱さのせいではなく急速に染まる頬。彼女はきまり悪そうにブクブクと泡の返事で答えていた。
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