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アカシック・レコード
たまに好き勝手つけてるサブタイトル。
結構楽しんでいます。

|約束してね、迎えに来てね。

テーブルを囲んで峰とのだめはアレでもない、コレでもない、といやに真面目に論議している。頬は二人とも赤く、大分呑んでいることが伺えるほどだったが。さて、キッチンから二人に催促されての追加のつまみを携えてテーブルに戻れば、二人は同時にこちらを向いて、同時に喋り始める。辛うじて聞き取る分に「もし」「指揮者じゃ」「なかったら?」どうやら論議の種はそこらしい。

「いきなり何だよ?」
「だからぁ、もし、先輩が指揮者じゃなかったら?て話してたんです。例えば前世とか。生まれ変わったら、とか。指揮者じゃない先輩ってどんなかなーって。」
だらしない語尾で目を細めて喋るのだめは、随分楽しそうだ。それに続いて峰はひとり力を入れて喋り始めた。
「オレはぁ、前世は料理人だったんだよ。きっと。でも、本当はバイオリンが弾きたかったんだ。きっと。それでバイオリンを弾き始めたんだな、きっと。」
グラスのワインを煽りながら、恍惚とした表情で語る峰に、「きっと」お前は今バイオリンが弾きたいんだな、と心で言ってやる。のだめは笑みを浮かべて「きっと、そうですよ。」と相づちを打った。

「先輩は、前世も指揮者だったと思います?」

組んだ両手に顔を乗せてじぃとこちらを見ている彼女に映る自分は、どこか間抜けな顔だっただろう。小さな頃から、ずっとずっと、指揮者に憧れていた自分は、指揮者以外の自分、を客観的に想像するには時間を要した。それに気づいたのだめは、少し笑った。
「もしかしたらぁ。」
相変わらず甘ったるい語尾でのだめは続けた。
「先輩も料理人かもしれないですねぇ。イタリアの小さなレストランです。そこにはピアノが置いてあってー。のだめはそこでピアノ弾いてるんです。あとぉ、売れない小説家とか?それで、のだめはピアノ弾いて応援するんです。あ、もしかしたら先輩もピアニストだったかも!それで、のだめとはライバルだったかもしれないですよ?でもぉ、最初はライバルなんですけど、好きになっちゃうんです。えへ。それからー」
「おい。」
「はい?」
微笑んだまま首を傾げた彼女はグラスに口をつけようとした。寸で手をかざしてそれを制す。
「お前は、前世でもピアノ弾きなわけ?幼稚園の先生とかじゃないのかよ。それに最後のピアニストのオレがお前を好きになる設定は何だ。」
「えぇー。ダメですかぁ?まぁ、のだめは幼稚園の先生でもピアノ弾いてますけど。」
口を尖らせてから、丁寧にグラスにかざされたオレの手をどかしてワインを少しだけ飲んだ。「オレは売れない小説家なのに?」付け足した言葉に、のだめはケラケラと笑った。
この状況に不思議そうな小さな仏頂面を作ったのは峰だ。

「いやいや、そこじゃないだろ。そもそも何でお前らは、前世でまで一緒にいる設定なんだよ。千秋はそこを突っ込めよ。」

「…」
「当たり前じゃないですか!」
反論したのはのだめ。赤面したのはオレ。
「オレだって!生まれる前もその前もキヨラとずっと一緒だったんだぜ! …きっと!」
「のだめと先輩はずっとずーっと一緒なんです!前世も!生まれ変わっても!」
峰とのだめはムキになって言い張りあっている。

ところで、オレがすぐさま反論できなかったのは、ピアノを弾いているのだめが傍に居るという状況を余りに当たり前に思っていたことにある。それに自ら気づいてしまったことと、赤い頬を悟られまいとグラスのワインを一気に飲み干した。
「…こんな変態、ずっと一緒に居られるのはオレだけだろう。」
ボソリ。苦し紛れの反論は峰にものだめにも微塵も届く様子はない、オレの精一杯は一人ごちて終わった。

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こちらは、の/だ/め/カン/ター/ビレを扱う二次創作のブログです。もちろん原作、出版社等いっさい関係ありません。

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