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calling
131 より

|calling

何も考えずに眠ろう、そう思っているのに。耳の奥では弦の音たちに追いかけられ、瞼の裏ではスポットライトのまるで差すような白い光に脅迫されるようだった。その合間で、先輩の笑った顔、と、眉間にしわを寄せて困った顔、や、悪いことがバレた時の怒った顔。それからすぐ後によくする仕方のない顔。くるくるくるくる、先輩が百人位入れ替わり立ち替わり私の脳裏を往来し、それらに対応する私の感情の処理能力はもう限界だった。
なんとか泊めてもらえたモーテルの一室で横になると、双眸からこぼれた涙は重力に素直に流れてゆき、耳に流れ込んでゆくようで気持ちが悪かった。

「先輩、」

いくら呼んでも、髪を優しく払ってくれる手はここにはないし、まして自分がそれを願っているのは随分勝手だとも思った。けれどもその言葉しか知らないように、先輩、としか私の唇は動かない。あの日の舞台ではない情景を辿ろうとすると、どうしても、洗いざらしのシーツと日向に二人でくるまっていたこと、テーブルに向かい合って正しいカレーについて討論をくりひろげたこと。ソファで背中合わせに座って、先輩はスコアに夢中だったけど、私は音符なんて一個も追いかけていなくて、合わさった肩甲骨と背中の温度にすべての神経をゆだねていたこと。そんな柔らかな日常が私をじわじわと優しく責めるので一向に眠りの淵に辿りつけない。

「先輩、」「先輩、」「先輩、」

大好きな先輩、大好きな先輩の大好きなシャツは握りしめたせいでくたりと柔らかく涙で少し湿ってほの温かい。唇が当たると、ついキスの温度を思い出してしまって余計にいけなかった。

先輩、私は。自分がこんな風に泣くなんて知らなかった。

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こちらは、の/だ/め/カン/ター/ビレを扱う二次創作のブログです。もちろん原作、出版社等いっさい関係ありません。

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