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夏日
のだめは野球中継を見て(見る家族を見て)育ったハズ。
|夏はやることがたくさん
「まったく先輩は嫌味な男ですね!この暑さの中涼しい顔して夕方からワインとチーズでサッカー!日本男子たるもの、夏の夕べはビールに枝豆に冷奴でナイター観戦ですよ!」
窓の外はようやく暮れ始めたパリの夏の空の色でも、昼間の熱をまだ十分に湛えた道を歩いて帰った彼女の額は汗が浮かんでいた。前髪がいくらか束になって張り付いている。
「おかえり。」
彼は憮然と返し、湯だった彼女のつむじを見やりながらグラスに口をはなさず返す。乱暴にレッスンバッグをソファに放り投げて冷蔵庫へと向かってミネラルウォーターのペットボトルを取り出す彼女、テレビからは淡々と試合中継が流れていた。
「のだめもビール飲みたい!枝豆と冷奴!先輩!」
手にしたペットボトルを瓶ビールのように扱い、テーブルに大げさな音をたてて置いた後についでゴトリと額ごと落ちた。目を瞑ってじっとしているところへ、扇風機の風がそよそよと額の髪に吹いている。
「無茶言うな。うちには今枝豆も冷奴も無いし。」
「…パリの夏は暑いばっかり。」
「そう言って、お前毎日アイス食ってんじゃねぇか。」
冷凍庫の買い置きが順調に減っているのをもちろん彼は見逃さない。少し咎めるような言い方に、彼女は目を瞑ったまま頬を小さく膨らませた。ふてくされた子供の顔をして見せたまま、おもむろに携帯電話を取り出す。
「のだめだって、先輩と浴衣で夕涼みしたり、花火大会行ったりしたいんです。プールに海水浴は無理でも。ナイター見に行ったり怪談でキャァキャァしたり。夏はやることがたくさんなのに。…パリは暑いばっかりです。」
不満を頬いっぱいに詰め込んで零す彼女の手は携帯電話から離れない、それからソファへやって来て彼に突き付けた携帯電話の画面には、夜空に大輪の花火が綺麗に2つ映っていた。下にスクロールすればもう一枚は浴衣姿の金髪頭。
「峰?」
「日本の花火大会は、さすが「大会」っていうだけはありますよねぇ。」
言うだけ言って、ぼすりと胸に落ちた。数十秒、彼の胸の上にぴたりとひっついていたけれど、むくりと身体を離して「あつい」と口を尖らせた。
「…お前なぁ。」
身体を離した彼女は気怠そうに腕を投げ出してソファに倒れこんでいる。ワンピースが小さく肌蹴ているのはあどけないばかりで、ちっともそそられない、はずなのに、と彼は思う。彼女が胸に落ちた分の夏のにおいは倦怠と妙な欲情がかけ合わさってできていて、何せさっきの数十秒は彼にもきちんとあつかった。
「じゃぁ、花火でもする?」
「先週ムッシュからもらった花火なら、もう無くなっちゃいましたよ?」
その答えを彼は知っていたし、「それは残念」なんて心にもない言葉は重なる唇に飲み込まれた。そして、ソファの上の二人分の体には扇風機の風一つじゃまったく足りなくなる。
パリの夏はあついばかり。
「まったく先輩は嫌味な男ですね!この暑さの中涼しい顔して夕方からワインとチーズでサッカー!日本男子たるもの、夏の夕べはビールに枝豆に冷奴でナイター観戦ですよ!」
窓の外はようやく暮れ始めたパリの夏の空の色でも、昼間の熱をまだ十分に湛えた道を歩いて帰った彼女の額は汗が浮かんでいた。前髪がいくらか束になって張り付いている。
「おかえり。」
彼は憮然と返し、湯だった彼女のつむじを見やりながらグラスに口をはなさず返す。乱暴にレッスンバッグをソファに放り投げて冷蔵庫へと向かってミネラルウォーターのペットボトルを取り出す彼女、テレビからは淡々と試合中継が流れていた。
「のだめもビール飲みたい!枝豆と冷奴!先輩!」
手にしたペットボトルを瓶ビールのように扱い、テーブルに大げさな音をたてて置いた後についでゴトリと額ごと落ちた。目を瞑ってじっとしているところへ、扇風機の風がそよそよと額の髪に吹いている。
「無茶言うな。うちには今枝豆も冷奴も無いし。」
「…パリの夏は暑いばっかり。」
「そう言って、お前毎日アイス食ってんじゃねぇか。」
冷凍庫の買い置きが順調に減っているのをもちろん彼は見逃さない。少し咎めるような言い方に、彼女は目を瞑ったまま頬を小さく膨らませた。ふてくされた子供の顔をして見せたまま、おもむろに携帯電話を取り出す。
「のだめだって、先輩と浴衣で夕涼みしたり、花火大会行ったりしたいんです。プールに海水浴は無理でも。ナイター見に行ったり怪談でキャァキャァしたり。夏はやることがたくさんなのに。…パリは暑いばっかりです。」
不満を頬いっぱいに詰め込んで零す彼女の手は携帯電話から離れない、それからソファへやって来て彼に突き付けた携帯電話の画面には、夜空に大輪の花火が綺麗に2つ映っていた。下にスクロールすればもう一枚は浴衣姿の金髪頭。
「峰?」
「日本の花火大会は、さすが「大会」っていうだけはありますよねぇ。」
言うだけ言って、ぼすりと胸に落ちた。数十秒、彼の胸の上にぴたりとひっついていたけれど、むくりと身体を離して「あつい」と口を尖らせた。
「…お前なぁ。」
身体を離した彼女は気怠そうに腕を投げ出してソファに倒れこんでいる。ワンピースが小さく肌蹴ているのはあどけないばかりで、ちっともそそられない、はずなのに、と彼は思う。彼女が胸に落ちた分の夏のにおいは倦怠と妙な欲情がかけ合わさってできていて、何せさっきの数十秒は彼にもきちんとあつかった。
「じゃぁ、花火でもする?」
「先週ムッシュからもらった花火なら、もう無くなっちゃいましたよ?」
その答えを彼は知っていたし、「それは残念」なんて心にもない言葉は重なる唇に飲み込まれた。そして、ソファの上の二人分の体には扇風機の風一つじゃまったく足りなくなる。
パリの夏はあついばかり。
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