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Re
132より
|好きとか恋とかそういうんじゃなくて
空を飛ぶことより、海に潜ることよりも怖い。ただただ怖い。水中で必死にもがいてはもがいては自ら吐き出した空気のあぶくを掴もうとしているようだった。そんな夢ばかりを見て真夜中に起きては、寝像の悪い自分の癖に器用にベッド半分の領地は空けていることに気づく。シーツの温度が冷たいことなんて触れなくても分かっていた。
だから腕の中にようやく彼女をおさめても、まるで実体のない薄い膜を一枚隔てているようでどこか緊張が解けない。強張りのほどき方や力の加減が分からなくて、いつのまにこんなに不器用になってしまっていたんだろうと思っていると、彼女が以前と変わらず鼻を鳴らしながら首元にふぐふぐと埋まってぎゅうと腕の力を強めたところで、いよいよ穏やかな安堵を抱きしめることができた。
「先輩?」
「うん?」
「今日のご飯、なんですか?」
「…。」
彼女はついでに笑って冗談に仕立ててしまったけれど、この腕の中の温もりを確信するまでの恐ろしさを思えば真剣に考えないわけはなかった。呪文料理だって何だっていい、なんなら一生分のメシを用意してやることだって厭わないし約束してしまいそうになる程の今の気持ちを、うっかりストレートに言ってしまいそうなくらい気持ちはいっぱいだったけれど、いつもの自分、が邪魔をして「バカ、」としか言えなかった。それでも彼女が首元で楽しそうなままだったのは、呼応するようにこちらもぎゅうと腕の力を強めたからだ。それから小さく「痛い」と笑った。
においや温度や息の音。みんな初めてみたいだった。
空を飛ぶことより、海に潜ることよりも怖い。ただただ怖い。水中で必死にもがいてはもがいては自ら吐き出した空気のあぶくを掴もうとしているようだった。そんな夢ばかりを見て真夜中に起きては、寝像の悪い自分の癖に器用にベッド半分の領地は空けていることに気づく。シーツの温度が冷たいことなんて触れなくても分かっていた。
だから腕の中にようやく彼女をおさめても、まるで実体のない薄い膜を一枚隔てているようでどこか緊張が解けない。強張りのほどき方や力の加減が分からなくて、いつのまにこんなに不器用になってしまっていたんだろうと思っていると、彼女が以前と変わらず鼻を鳴らしながら首元にふぐふぐと埋まってぎゅうと腕の力を強めたところで、いよいよ穏やかな安堵を抱きしめることができた。
「先輩?」
「うん?」
「今日のご飯、なんですか?」
「…。」
彼女はついでに笑って冗談に仕立ててしまったけれど、この腕の中の温もりを確信するまでの恐ろしさを思えば真剣に考えないわけはなかった。呪文料理だって何だっていい、なんなら一生分のメシを用意してやることだって厭わないし約束してしまいそうになる程の今の気持ちを、うっかりストレートに言ってしまいそうなくらい気持ちはいっぱいだったけれど、いつもの自分、が邪魔をして「バカ、」としか言えなかった。それでも彼女が首元で楽しそうなままだったのは、呼応するようにこちらもぎゅうと腕の力を強めたからだ。それから小さく「痛い」と笑った。
においや温度や息の音。みんな初めてみたいだった。
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