[PR]
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
エクレール
夏の話もこれで終わり!
|エクレール
隣の部屋から聞こえた声は、悲鳴ではなく奇声でどこか楽しげな黄色い色だった。その奇声に覆いかぶさるように外からは轟く雷鳴。隣を覗けば、ピアノチェアを窓際に寄せて膝頭をついて座り窓にへばりついて、雨が打ち付ける窓から外の稲妻の様子をはしゃぎながら見ている。
「お前、怖くないの?」
珈琲サーバーからカップへと珈琲を移しながら声をかけると、へ?と間抜けな返事を笑顔と一緒にこちらへ向けた。ピアノチェアからひょいと飛び降り、軽やかに彼の方へやってきて、自分のカップを用意し始める。その合間にも轟音をたてる雷に奇声をあげて嬉々としていた。
「別に怖くないですよー?寧ろワクワクするっていうか。違う意味でドキドキするっていうか。」
珈琲を注ぎ終えたら、流れるような動作で冷蔵庫からミルクを取り出し、とぷとぷと継ぎ足した。マホガニー色に変わったカップのぬるい珈琲を大きく一口飲んで、ことさら大きな笑顔を作った。
「キャー怖い真一くーん!とか言って欲しかったですか?」
「…別に。」
それはもちろん、どんな悪天候でも物怖しないほうが彼女らしい。と本音で思った返事だったのだけれど、いつもの味気ない返答に何だか彼女は少しつまらなさを覚えて、カップから離れた唇をぴゅいと尖らせた。
そこで一際大きな雷が鳴って、カップを口にした彼が「でかいな、」とひとつ呟いた。やや長めの、大きくアパルトマンの芯に響く様な稲妻の後ろで彼女は、いたずら心を笑みに携え部屋の照明のスイッチに手を伸ばした。雷の音でスイッチを切る音はかき消されたので、突然の暗闇に彼は素直に驚いた声をあげた。そんな彼を見て悪びれる様子もなく彼女はけらけらと笑っている。
「お前なぁ、」
呆れかえっていまいましそうな彼の声も彼女はものともせず終始楽しそうだ。「本当に停電になったらどうします?」なんて笑い声を重ねたまま、灯りをつけようとスイッチに手を伸ばしたのだけれども、部屋は明るさを取り戻すことはなく、スイッチの上では二人の手が重なった。戸惑いながら彼女は彼を見上げるが、うす暗い部屋のせいで表情は朧気だ。いたずらに彼がムッとしているだろうことは予想はつくが、反してスイッチの上で重なった手はすでに指先まで親しく絡めとられているので、本心が知りたい。
「本当に停電になったら?」
「キャァ怖い!真一君!って言って先輩にしがみつきます。」
彼女が屈託なく笑いながらふざけるように抑揚ない台詞を吐いているのは、彼の声がすっかり穏やかだったからだ。ふたりの手はとうにスイッチから離れている。
「じゃぁ、今から停電。」
耳元で響く声は低く甘く、雷よりも空気を震わす。
「雷よりも、ドキドキします。」
雷鳴はどこへやら、ひたすらキスの音ばかりになったあと、彼女は宣言通り彼にしがみつく様に抱きついた。
隣の部屋から聞こえた声は、悲鳴ではなく奇声でどこか楽しげな黄色い色だった。その奇声に覆いかぶさるように外からは轟く雷鳴。隣を覗けば、ピアノチェアを窓際に寄せて膝頭をついて座り窓にへばりついて、雨が打ち付ける窓から外の稲妻の様子をはしゃぎながら見ている。
「お前、怖くないの?」
珈琲サーバーからカップへと珈琲を移しながら声をかけると、へ?と間抜けな返事を笑顔と一緒にこちらへ向けた。ピアノチェアからひょいと飛び降り、軽やかに彼の方へやってきて、自分のカップを用意し始める。その合間にも轟音をたてる雷に奇声をあげて嬉々としていた。
「別に怖くないですよー?寧ろワクワクするっていうか。違う意味でドキドキするっていうか。」
珈琲を注ぎ終えたら、流れるような動作で冷蔵庫からミルクを取り出し、とぷとぷと継ぎ足した。マホガニー色に変わったカップのぬるい珈琲を大きく一口飲んで、ことさら大きな笑顔を作った。
「キャー怖い真一くーん!とか言って欲しかったですか?」
「…別に。」
それはもちろん、どんな悪天候でも物怖しないほうが彼女らしい。と本音で思った返事だったのだけれど、いつもの味気ない返答に何だか彼女は少しつまらなさを覚えて、カップから離れた唇をぴゅいと尖らせた。
そこで一際大きな雷が鳴って、カップを口にした彼が「でかいな、」とひとつ呟いた。やや長めの、大きくアパルトマンの芯に響く様な稲妻の後ろで彼女は、いたずら心を笑みに携え部屋の照明のスイッチに手を伸ばした。雷の音でスイッチを切る音はかき消されたので、突然の暗闇に彼は素直に驚いた声をあげた。そんな彼を見て悪びれる様子もなく彼女はけらけらと笑っている。
「お前なぁ、」
呆れかえっていまいましそうな彼の声も彼女はものともせず終始楽しそうだ。「本当に停電になったらどうします?」なんて笑い声を重ねたまま、灯りをつけようとスイッチに手を伸ばしたのだけれども、部屋は明るさを取り戻すことはなく、スイッチの上では二人の手が重なった。戸惑いながら彼女は彼を見上げるが、うす暗い部屋のせいで表情は朧気だ。いたずらに彼がムッとしているだろうことは予想はつくが、反してスイッチの上で重なった手はすでに指先まで親しく絡めとられているので、本心が知りたい。
「本当に停電になったら?」
「キャァ怖い!真一君!って言って先輩にしがみつきます。」
彼女が屈託なく笑いながらふざけるように抑揚ない台詞を吐いているのは、彼の声がすっかり穏やかだったからだ。ふたりの手はとうにスイッチから離れている。
「じゃぁ、今から停電。」
耳元で響く声は低く甘く、雷よりも空気を震わす。
「雷よりも、ドキドキします。」
雷鳴はどこへやら、ひたすらキスの音ばかりになったあと、彼女は宣言通り彼にしがみつく様に抱きついた。
PR