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とっておきの隠しごと
少し未来の
|とっておきの隠しごと
着信音に気づいてコールボタンを押した時には、もうアパルトマンが見えた頃だった。
「先輩先輩、のだめ、実は先輩に内緒にしてたことがあって。今日打ち明けようと思っているんです。」
アロー、より先に矢継ぎ早に言ってのけた彼女の声。条件反射に彼は顔をしかめるが、どこか浮ついた彼女の声を怪訝に思いながら内緒の中身を推測した。
「…何?食器割った?スコアに珈琲零した?また鍵落とした? あ、冷蔵庫の林檎全部食べただろ。」
「違いますよぅ。」
でも、林檎はバレてたんですね。とケラケラ笑う彼女の声の向こうで、お前今日デザート無しだからな。と彼も笑って付け加えた。彼女の隠し事はたくさんあっても、いつもはあっさり彼に見破られてしまうものだけれども、さて、今日は一体、と思案を巡らせるうちに階段は登りきってしまった。ドアの前、鍵穴を差し込むカチャリという音。「あのね、先輩、」と彼女の声が受話器とその扉の向こうから同時に耳に入ってくる。
「「のだめ、赤ちゃんができました。」」
ドアを開けたまま直立不動、目の前の彼女と受話器越しの声から告げられる。携帯電話、マルシェの紙袋、手にしていたジャケットは全て床に転がってしまった。得意げに微笑んでいた彼女は、あ、と小さく声を漏らしたけれど、次の瞬間にはもう彼の腕の中だった。
「初めて先輩に怒られなかった隠し事ですね?」
誇らしそうに言ってみせる彼女を、力任せに一瞬抱きしめてから、すぐに腕を緩めた。彼はもう壊れ物を扱う様な視線で見つめている。
「…バカだな。」
えへへ、と笑う彼女に、彼も目を細めた。
マルシェの紙袋からは、林檎が三つ、転がっていた。
着信音に気づいてコールボタンを押した時には、もうアパルトマンが見えた頃だった。
「先輩先輩、のだめ、実は先輩に内緒にしてたことがあって。今日打ち明けようと思っているんです。」
アロー、より先に矢継ぎ早に言ってのけた彼女の声。条件反射に彼は顔をしかめるが、どこか浮ついた彼女の声を怪訝に思いながら内緒の中身を推測した。
「…何?食器割った?スコアに珈琲零した?また鍵落とした? あ、冷蔵庫の林檎全部食べただろ。」
「違いますよぅ。」
でも、林檎はバレてたんですね。とケラケラ笑う彼女の声の向こうで、お前今日デザート無しだからな。と彼も笑って付け加えた。彼女の隠し事はたくさんあっても、いつもはあっさり彼に見破られてしまうものだけれども、さて、今日は一体、と思案を巡らせるうちに階段は登りきってしまった。ドアの前、鍵穴を差し込むカチャリという音。「あのね、先輩、」と彼女の声が受話器とその扉の向こうから同時に耳に入ってくる。
「「のだめ、赤ちゃんができました。」」
ドアを開けたまま直立不動、目の前の彼女と受話器越しの声から告げられる。携帯電話、マルシェの紙袋、手にしていたジャケットは全て床に転がってしまった。得意げに微笑んでいた彼女は、あ、と小さく声を漏らしたけれど、次の瞬間にはもう彼の腕の中だった。
「初めて先輩に怒られなかった隠し事ですね?」
誇らしそうに言ってみせる彼女を、力任せに一瞬抱きしめてから、すぐに腕を緩めた。彼はもう壊れ物を扱う様な視線で見つめている。
「…バカだな。」
えへへ、と笑う彼女に、彼も目を細めた。
マルシェの紙袋からは、林檎が三つ、転がっていた。
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