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ミクロコスモ・ミクロコスモス 3
大学・パリ・パリ。
|まつ毛
「オレ、そろそろ行くから。」
「え、もう?」
テラスでテーブルから立ち上がろうとした千秋に声をかけたのはオレだけでなく、のだめが千秋のシャツの袖をひいた。
「あ、待って先輩。まつ毛。」
顔を寄せて伸びてくるのだめの右手に、千秋は目を瞑り、小さく「ん、」と素直に下瞼に落ちたまつ毛をはらわれる。ごく自然に頬に触れる手と、纏う空気は随分と柔らかなもので何だか急にオレは顔が熱くなった気がした。
「取れた?」
「ハイ。」
ニコリと微笑むのだめに「じゃぁ、」と席を立ち、千秋は鞄を持って平然と校舎へと戻って行った。
「峰君?真澄ちゃん?どうかしました?」
言葉が出ずに赤面したままのオレと怒りを堪えて青い顔をした真澄ちゃんを眺めながら、こちらを振り向いたのだめは不思議そうに小首を傾げていた。
「殺すわ!」
真澄ちゃんに首を絞められているのだめを横目に、校舎に消える千秋の背中をじとりと睨む。こいつらの関係への懐疑心をいっぱいに。
|舌
「食べられてる、みたい。」
キスの合間に、ひとつ笑って彼女が言った。
|脛
「…痛っ!お前信じらんねー!」
「先輩が悪いんですよ!」
「だからってここ蹴るか!?」
「先輩のバーカバーカバーカ!」
うずくまり痛みをこらえる彼に目もくれず、彼女は思い切り声を荒げて飛び出して行った。その勢いで大きな音を立てて閉まるドア。行き先は見当がつくので追いかけはしない。どうせ、いつもの様に四つも年下の友人から「さっさと仲直りしてこい」と窘められて帰ってくるのは想像がついている。
しかし今日はものの数分後という随分と早い帰りだった。何だか小難しい顔をして、後ろには思った通りの友人もついて来ている。
「先輩、弁慶の泣き所って何ですかね?」
「…は?」
「ターニャに、さっきのケンカしてたこと話してたんですけどー。のだめが弁慶の泣き所に蹴りを入れたって言ったら、ターニャが何それ?って。普通に蹴るより、弁慶の泣き所に蹴り入れる方が酷いってことを言いたかっただけなんですけど。何で脛のこと、弁慶の泣き所って言うんですかね?先輩、覚えてます?のだめ、どんな話か忘れちゃって。うまく説明出来ないんですよね。」
「…。」
「のだめ、チアキ、やっぱりその話は今度でいいから。またね!」
言葉も無くした彼の様子にいち早く気づいたのはドアに一番近い彼女で。追加でまた怒声が飛ぶ前に、早々に退散しようと声をかけて慌ただしくドアを閉めた。
「それよりお前はまず謝れ!」
「ぎゃぼ!」
ドアを隔てても廊下に響く彼らの声に、彼女はため息を吐きながら階段を上がった。
「オレ、そろそろ行くから。」
「え、もう?」
テラスでテーブルから立ち上がろうとした千秋に声をかけたのはオレだけでなく、のだめが千秋のシャツの袖をひいた。
「あ、待って先輩。まつ毛。」
顔を寄せて伸びてくるのだめの右手に、千秋は目を瞑り、小さく「ん、」と素直に下瞼に落ちたまつ毛をはらわれる。ごく自然に頬に触れる手と、纏う空気は随分と柔らかなもので何だか急にオレは顔が熱くなった気がした。
「取れた?」
「ハイ。」
ニコリと微笑むのだめに「じゃぁ、」と席を立ち、千秋は鞄を持って平然と校舎へと戻って行った。
「峰君?真澄ちゃん?どうかしました?」
言葉が出ずに赤面したままのオレと怒りを堪えて青い顔をした真澄ちゃんを眺めながら、こちらを振り向いたのだめは不思議そうに小首を傾げていた。
「殺すわ!」
真澄ちゃんに首を絞められているのだめを横目に、校舎に消える千秋の背中をじとりと睨む。こいつらの関係への懐疑心をいっぱいに。
|舌
「食べられてる、みたい。」
キスの合間に、ひとつ笑って彼女が言った。
|脛
「…痛っ!お前信じらんねー!」
「先輩が悪いんですよ!」
「だからってここ蹴るか!?」
「先輩のバーカバーカバーカ!」
うずくまり痛みをこらえる彼に目もくれず、彼女は思い切り声を荒げて飛び出して行った。その勢いで大きな音を立てて閉まるドア。行き先は見当がつくので追いかけはしない。どうせ、いつもの様に四つも年下の友人から「さっさと仲直りしてこい」と窘められて帰ってくるのは想像がついている。
しかし今日はものの数分後という随分と早い帰りだった。何だか小難しい顔をして、後ろには思った通りの友人もついて来ている。
「先輩、弁慶の泣き所って何ですかね?」
「…は?」
「ターニャに、さっきのケンカしてたこと話してたんですけどー。のだめが弁慶の泣き所に蹴りを入れたって言ったら、ターニャが何それ?って。普通に蹴るより、弁慶の泣き所に蹴り入れる方が酷いってことを言いたかっただけなんですけど。何で脛のこと、弁慶の泣き所って言うんですかね?先輩、覚えてます?のだめ、どんな話か忘れちゃって。うまく説明出来ないんですよね。」
「…。」
「のだめ、チアキ、やっぱりその話は今度でいいから。またね!」
言葉も無くした彼の様子にいち早く気づいたのはドアに一番近い彼女で。追加でまた怒声が飛ぶ前に、早々に退散しようと声をかけて慌ただしくドアを閉めた。
「それよりお前はまず謝れ!」
「ぎゃぼ!」
ドアを隔てても廊下に響く彼らの声に、彼女はため息を吐きながら階段を上がった。
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