[PR]
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
鈍感ゴシップ
音大時代。峰と。
|鈍感ゴシップ
金髪の友人は構内でも見つけやすい出で立ちだとしても、何で自分迄こうも目ざとく見つけられてしまうのか、と彼は思う。そしてもちろん顰めっ面で返事は無しに足をとめた。校舎三棟分も離れたところから大きな声で呼ばれたからだ。
「千秋ぃ、もっぱら噂になってるな。」
肩を叩いた友人は少し息を上げて言った。
「…何が。」
「あれ、お前の耳には入ってきてない?」
つきまとう噂や陰で何を言われているかなんて彼には甚だ興味のないところだが、それを直接耳にいれてくれる人は今迄いなかったので友人は唯一の情報提供源だ。その事実に友人はひとつ、嫌に愉快そうな顔を作る。
「のだめが千秋以外の男と仲良さそうに歩いてたって、」
面白くないのは話の中身ではなく、その友人の顔だ、と言わんばかりに彼は憮然とした顔を真っ向から向けた。
「…ふぅん。というか、のだめと俺はいつも仲良さそうに歩いているように見えるのか?そっちのほうが気になるんだけど。そもそも関係ないし、のだめが誰と一緒にいようと。」
「まぁ、お前ら二人でワンセットみたいなもんだし。ていうか、千秋、」
何?と少しの不機嫌を織り交ぜて作る怪訝な表情は、彼の普段と変わらないので、幾ばくか真意を計りかねたけれども。
「それは余裕の表情?」
「…はぁ?」
すぐ後には同じく「はぁ、」と言葉になるほどのため息。
「そんな訳ないだろ、それにあの変態がオレにまとわり付かなくなるなら願ったり叶ったりだけどな。大体その男、どこのどいつだよ。あんな変態と仲良さそうに歩いてるなんて見てみたいもんだけど。あいつは一見普通の女子かもしれないけど、中身の変態っぷりに気づいて早々に離れるんじゃないの。オレがあいつの面倒みてやってるのは事実だとしても、それ、所詮噂だろ?実際あいつに付き合える男がいると思うか?」
「オレ位だろう、」と彼は言わなかったが「お前位だ、」と友人は思った。しかし、彼の言い分はつくづく文句ではなくただの睦まじい二人でしかなかったので、友人は二の句がつげなかった。
「千秋せんぱーい!!」
やにわに噂の彼女の声が10メートル上から降って来た。二人見上げると、彼女は三階の練習室の窓から大きく手を振っている。
「先輩一緒に帰りましょー!すぐ降りますから待っててくださーい!寒くなって来たんで今日はシチューが食べたいですー!」
一息に叫び終わるとおかっぱ頭はひょんと窓下に引っ込んだ。おそらく猛スピードでこちらに向かっているのだろう。
「でかい声で、恥ずかしいヤツだな。」
思い切り眉根を寄せて仏頂面を作った彼はおもむろにポケットから煙草を取り出して火をつける。そうして当たり前のように彼女の支度を待つ彼に再び呆気にとられたのは友人の方だ。
「千秋ぃ、」
「何。」
維持された仏頂面も、不機嫌なトーンも。全く効力は無い。
「…お前って、いや。いいや。オレ、先帰るわ。」
手を挙げた彼に少し不思議そうな顔をして挨拶を返す。正門を抜けたところで後ろに奇声が聞こえ始めたので彼女が走ってきたのだろう。振り返ると右腕に巻き付く彼女を必死にはがそうとする彼の姿が見える。でもきっと、もう5分もすれば彼は格闘を諦めるだろうし、今夜はちゃんと二人でシチューを食べるのだろうと思う。そして噂より何より、自分の目に映るものだけを信じようと思うのだった。
金髪の友人は構内でも見つけやすい出で立ちだとしても、何で自分迄こうも目ざとく見つけられてしまうのか、と彼は思う。そしてもちろん顰めっ面で返事は無しに足をとめた。校舎三棟分も離れたところから大きな声で呼ばれたからだ。
「千秋ぃ、もっぱら噂になってるな。」
肩を叩いた友人は少し息を上げて言った。
「…何が。」
「あれ、お前の耳には入ってきてない?」
つきまとう噂や陰で何を言われているかなんて彼には甚だ興味のないところだが、それを直接耳にいれてくれる人は今迄いなかったので友人は唯一の情報提供源だ。その事実に友人はひとつ、嫌に愉快そうな顔を作る。
「のだめが千秋以外の男と仲良さそうに歩いてたって、」
面白くないのは話の中身ではなく、その友人の顔だ、と言わんばかりに彼は憮然とした顔を真っ向から向けた。
「…ふぅん。というか、のだめと俺はいつも仲良さそうに歩いているように見えるのか?そっちのほうが気になるんだけど。そもそも関係ないし、のだめが誰と一緒にいようと。」
「まぁ、お前ら二人でワンセットみたいなもんだし。ていうか、千秋、」
何?と少しの不機嫌を織り交ぜて作る怪訝な表情は、彼の普段と変わらないので、幾ばくか真意を計りかねたけれども。
「それは余裕の表情?」
「…はぁ?」
すぐ後には同じく「はぁ、」と言葉になるほどのため息。
「そんな訳ないだろ、それにあの変態がオレにまとわり付かなくなるなら願ったり叶ったりだけどな。大体その男、どこのどいつだよ。あんな変態と仲良さそうに歩いてるなんて見てみたいもんだけど。あいつは一見普通の女子かもしれないけど、中身の変態っぷりに気づいて早々に離れるんじゃないの。オレがあいつの面倒みてやってるのは事実だとしても、それ、所詮噂だろ?実際あいつに付き合える男がいると思うか?」
「オレ位だろう、」と彼は言わなかったが「お前位だ、」と友人は思った。しかし、彼の言い分はつくづく文句ではなくただの睦まじい二人でしかなかったので、友人は二の句がつげなかった。
「千秋せんぱーい!!」
やにわに噂の彼女の声が10メートル上から降って来た。二人見上げると、彼女は三階の練習室の窓から大きく手を振っている。
「先輩一緒に帰りましょー!すぐ降りますから待っててくださーい!寒くなって来たんで今日はシチューが食べたいですー!」
一息に叫び終わるとおかっぱ頭はひょんと窓下に引っ込んだ。おそらく猛スピードでこちらに向かっているのだろう。
「でかい声で、恥ずかしいヤツだな。」
思い切り眉根を寄せて仏頂面を作った彼はおもむろにポケットから煙草を取り出して火をつける。そうして当たり前のように彼女の支度を待つ彼に再び呆気にとられたのは友人の方だ。
「千秋ぃ、」
「何。」
維持された仏頂面も、不機嫌なトーンも。全く効力は無い。
「…お前って、いや。いいや。オレ、先帰るわ。」
手を挙げた彼に少し不思議そうな顔をして挨拶を返す。正門を抜けたところで後ろに奇声が聞こえ始めたので彼女が走ってきたのだろう。振り返ると右腕に巻き付く彼女を必死にはがそうとする彼の姿が見える。でもきっと、もう5分もすれば彼は格闘を諦めるだろうし、今夜はちゃんと二人でシチューを食べるのだろうと思う。そして噂より何より、自分の目に映るものだけを信じようと思うのだった。
PR