忍者ブログ
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

アムールの国へようこそ
6月も終わりなので
幸せ結婚話を書こう!と思っていました。

全くそんな話じゃなくなりました。
テオとノエミが好きです。

|アムールの国へようこそ

「チアキって、背も高いし、身のこなしもスマートだし。日本人って感じそんなにしないわよねぇ。うちでは鬼指揮者だけど、他の楽団からは王子なんて呼ばれてるくらいだし?」

ライブラリに入ろうとする彼を見ながらノエミが言った。事務所のソファで楽譜を広げて鉛筆の先で横髪をくるりと遊びながら、上から下まで彼を目を細めながら見やり、最後にふっと息を吐いて。その言葉に、事務所に居合わせていたテオは作業をしていた手を机の上で止めて、ふむ、と小さくこぼして、話題の彼に顔を向けた。
「何?」
少したじろぎながら、ライブラリに入ろうとしていた足を止めた彼は二人の台詞の続きを待っていると、テオは照明を見上げるように顔を上げ、あ、と思い出したようにつぶやいた。
「そうだよねぇ。チアキもすっかりアムールの国の人だよねぇ。」
どこか仕方のないように笑って言う様子の上に、アムールなんて自分とは対極にあるような言葉を持ち出されて反射的に顔が少し熱くなった。
「はぁ?」
しかし本人は全くの自覚はないので、もちろん顔をしかめて反論をした。するとノエミはその無自覚な様子が面白いのか、テオと顔を見合わせて一度不敵に笑った。

「こないだ、奥さん遊びに来てた時とか?」
「ライブラリで、ねぇ?」

じわり、ドアノブにかけた手から汗が出るのが分かるほど彼の体温は急速に上がっていくようだった。理由はもちろん、思い当たる節があるからで、一瞬にして記憶のピースが脳裏をよぎる。オレンジの終わりかけの様な暗くなり始めたライブラリの壁の色。探していた楽譜の表紙に描かれた装飾的なストラヴィンスキーの文字。楽しげに楽譜を覗き込む彼女の跳ねた髪。そこで堪らず唇を寄せたこと。

「今日は一人だし、時間もかからないよね?早く鍵しめて帰りたいから、」

真顔なのか、冗談なのか。テオの表情を確認する余裕も無く言葉を途中で遮る様にライブラリのドアを閉める。ライブラリでは、おそらく真っ赤な顔をしているであろう彼に、「どこがアムールの国の人?」とノエミはテオに笑って言った。

拍手

PR
| prev | top | next |
| 305 | 304 | 303 | 302 | 322 | 301 | 300 | 299 | 298 | 297 | 296 |
プロフィール
HN:
ぐぐ
性別:
非公開
自己紹介:
こちらは、の/だ/め/カン/ター/ビレを扱う二次創作のブログです。もちろん原作、出版社等いっさい関係ありません。

のだ/めだったり、それ以外だったり気の向くままです。気の向くまま描いたり書いたりです。
よろしくお願いします。
何かございましたら拍手等でお願い致します。

詳しくはこちらにも

お知らせはこちら
カレンダー
03 2026/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30
アクセス解析
忍者ブログ  [PR]