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夏のおわり
まだまだ毎日暑いですね!
若干間に合わなかった…
若干間に合わなかった…
|夏のおわり
窓の外の日差しはきつく、街ゆく人達はまだまだ薄着だし、カレンダーを捲っても秋だという実感も無い日が続く。カレンダーの前でぼんやり9の数字を見ていると、横から、ひょい、と栗色の髪を跳ねさせたのだめの頭。
「夏休み、終わっちゃいましたね。」
「日本も新学期だなぁ。」
「先輩は、いつも余裕でこの日を迎えてたでしょ?」
ニッと笑ってのだめが覗き込む。一瞬訳が分からなかったが、すぐに、あぁ。と。それは得意げに返した。
「もちろん。オレが31日に宿題に慌てるわけがない。」
右手で頭をぐしゃりと撫ぜれば、下からやっぱり、と笑う声。続けて、のだめは、と言うのを遮ってやる。
「お前はアレだな、宿題思い出すけど、結局その宿題もどこにやったか分からなくなってたんだろ。」
「すごい。何で分かるんですか!」
驚いた様に見上げた顔。それにこちらは呆れてみせて、ついでにもう一度頭をぐしゃり。そのままのだめをカレンダーの前に置いておいて、まったく、とソファに大きく腰掛ける。
「先輩、」
首だけ返せば、得意げなのだめの顔。
「この夏に、思い残したことありませんか?」
「思い残したこと?」
「はい。やりましょう!スイカに花火に海水浴!」
勢いよくソファに走り込んで背面から首元に抱きつかれる。その提案にのってやろうかと一旦思ってみるも、すぐに思い直す。
「嫌だ。今から買い物行くのも面倒だし、花火は人が多いし。というかやってないだろ。海水浴なんて論外!」
最後は思い切り語尾を強く。のだめは奇声とともに背中でしぼんでゆく。
「それに今日は、もう9月!夏は終わり!」
もう一声奇声を追加して、のだめは後ろの床に完全に落ちた。
「あ。」
そう言ってのだめが立ち上がったのは、ちょうど珈琲を入れようとソファから立ち上がろうとした時で、それからばたばたと部屋の中でも大きく足音を立てて段ボールめがけてゆく。湯を沸かしながら、のだめが何かを必死に探している様子を見やる。ひょこひょこと、髪の毛がゆれていて、もう一度の「あ」の後、すっくと立ち上がり、満面の笑顔で振り返った。
「ありました! 線香花火!」
こくん、と珈琲を飲みながら、仕方なしにのだめに笑ってやる。
日の長いパリが、しっかりと夜になるのを待ってから、エントランスに二人。ライターを急かすのだめに、ため息ひとつ。二本の線香花火が近づくのと、顔が近づくのは同じ速度で、目が合えばそれは嬉しそうに、にっこりと、ゆっくりと笑った。
「これで、夏も終わりです。」
「もう思い残すこと、ない?」
小さく音をたてて、可愛らしい火花を散らしている様子を静かに見ながら俯いたまま、はい、と笑った。
「あ」
ゆるく踊る火の玉が落ちたのと、のだめの頬に唇を寄せたのは同時。
終わっちゃいましたね。と、暗闇の中でもう一度笑った。
窓の外の日差しはきつく、街ゆく人達はまだまだ薄着だし、カレンダーを捲っても秋だという実感も無い日が続く。カレンダーの前でぼんやり9の数字を見ていると、横から、ひょい、と栗色の髪を跳ねさせたのだめの頭。
「夏休み、終わっちゃいましたね。」
「日本も新学期だなぁ。」
「先輩は、いつも余裕でこの日を迎えてたでしょ?」
ニッと笑ってのだめが覗き込む。一瞬訳が分からなかったが、すぐに、あぁ。と。それは得意げに返した。
「もちろん。オレが31日に宿題に慌てるわけがない。」
右手で頭をぐしゃりと撫ぜれば、下からやっぱり、と笑う声。続けて、のだめは、と言うのを遮ってやる。
「お前はアレだな、宿題思い出すけど、結局その宿題もどこにやったか分からなくなってたんだろ。」
「すごい。何で分かるんですか!」
驚いた様に見上げた顔。それにこちらは呆れてみせて、ついでにもう一度頭をぐしゃり。そのままのだめをカレンダーの前に置いておいて、まったく、とソファに大きく腰掛ける。
「先輩、」
首だけ返せば、得意げなのだめの顔。
「この夏に、思い残したことありませんか?」
「思い残したこと?」
「はい。やりましょう!スイカに花火に海水浴!」
勢いよくソファに走り込んで背面から首元に抱きつかれる。その提案にのってやろうかと一旦思ってみるも、すぐに思い直す。
「嫌だ。今から買い物行くのも面倒だし、花火は人が多いし。というかやってないだろ。海水浴なんて論外!」
最後は思い切り語尾を強く。のだめは奇声とともに背中でしぼんでゆく。
「それに今日は、もう9月!夏は終わり!」
もう一声奇声を追加して、のだめは後ろの床に完全に落ちた。
「あ。」
そう言ってのだめが立ち上がったのは、ちょうど珈琲を入れようとソファから立ち上がろうとした時で、それからばたばたと部屋の中でも大きく足音を立てて段ボールめがけてゆく。湯を沸かしながら、のだめが何かを必死に探している様子を見やる。ひょこひょこと、髪の毛がゆれていて、もう一度の「あ」の後、すっくと立ち上がり、満面の笑顔で振り返った。
「ありました! 線香花火!」
こくん、と珈琲を飲みながら、仕方なしにのだめに笑ってやる。
日の長いパリが、しっかりと夜になるのを待ってから、エントランスに二人。ライターを急かすのだめに、ため息ひとつ。二本の線香花火が近づくのと、顔が近づくのは同じ速度で、目が合えばそれは嬉しそうに、にっこりと、ゆっくりと笑った。
「これで、夏も終わりです。」
「もう思い残すこと、ない?」
小さく音をたてて、可愛らしい火花を散らしている様子を静かに見ながら俯いたまま、はい、と笑った。
「あ」
ゆるく踊る火の玉が落ちたのと、のだめの頬に唇を寄せたのは同時。
終わっちゃいましたね。と、暗闇の中でもう一度笑った。
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